GPSウオッチの指示を受けながら「横浜マラソン 2016」を走ってみる!

横浜マラソンガイドブック

3月13日に開催された横浜マラソン。
このレースを、ガーミンのペース指示に厳格に従いながら走ってみよう、というのが今回のチャレンジです。

使用した機種はForeAthlete 920XTJです。
ガーミンの920、620、220、225シリーズをお使いの方はご存知と思いますが、これらの機種には「ワークアウト」という機能が搭載されています。
ワークアウトという機能は、任意の距離(あるいは時間)に区切って目標ペースを設定することで、自分の走行ペースがその目標範囲から外れた場合にアラート音とバイブレーションで逐一知らせてくれるというものです。 つまり、目標ペースより遅い場合はもちろん、早すぎる場合にもしっかりと注意喚起してくれて、常に適正ペースで走ることを助けてくれるのです。

目標より早いのなら別にいいんじゃない? と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そこが落とし穴。 まだカラダにエンジンがかかり切っていないのにレース前半で不用意に飛ばし過ぎてしまい、30kmを超えてから脚が動かなくなってしまったという経験をお持ちの方は少なくないでしょう。
今回の横浜マラソンでも、スタート直後にものすごいスピードで人をかき分けて追い越していくランナーが何人もいました。 ジグザグしながらダッシュ&ブレーキで脚に猛烈な負担をかけながら走っている姿は、他人事ながらとても心配でした。
前半でペースを抑えて我慢しながら走ることは、後半でのペース維持、あるいはペースアップのためにとても重要です。
そこで、この「ワークアウト」機能の登場です。

レース前の準備

まず、ガーミンコネクトでワークアウトを作成します。
作成のコツについてはハッスルオリジナル「使いたおし読本」に記述していますが、ここでは設定方法の一例をご紹介します。
例えば、5kmごとをひとつの単位として“ステップ”と呼ぶプログラムを作成して、それぞれ目標とするペースの幅(ターゲット)を入力します。
ステップの設定距離は何kmでも良いのですが、ハッスル社員の経験上、ここは1kmといったような短い単位にせず、5kmくらいで設定するのがベストです。 途中で給水に手間取ったり、アクシデントにより若干スピードが落ちたりしても、1単位を5kmに設定しておけば、その中で目標ペースに戻すよう調整することは比較的容易にできます。
以下が、今回の横浜マラソン向けにハッスル社員が設定した5km単位のペースをグラフにしたものです。

目標ペース

ここでは、目標ペース幅の上限と下限のラインを10秒の幅で決めましたが、これについては自分のやり易いように自由に設定できます。
ただ、練習などでは比較的ラフで良いのですが、レースでこのワークアウトを使う場合は、ゴールまでの設定距離を42.195kmではなく、少し多めに見積もっておくことが必要になります。 それは、私たち一般ランナーが走るマラソンレースの距離は、給水所まで斜めに横切って向かったり、広い道幅のカーブを大回りなルートで走ったりと、決して最短距離を走れているわけではないからです。 今回はちょっと少なめですが42.3kmで設定してみました。
このペース幅の中で最後まで走りきれれば、およそ3時間53分〜4時間の間でゴールできる計算になります。

完成したデータをForeAthlete 920XTJに転送して、準備完了。いざ、横浜マラソンスタートです。

ポイントはペースの遵守、最後は全力で!

<スタート〜5km>
スタート直後は、5分50秒〜6分/kmというペースで設定しましたので、比較的ゆっくりです。
しかし、どこのレースでも大体そうですが、スータート直後は多くのランナーが自分の目標ペースよりもはるかに速いスピードで突っ走っています。 しかも横浜マラソンはスタートしてすぐに緩い下り坂になっているため、ハッスル社員はほとんどのランナーに抜かれまくる状態になりました。
ですが、ここは我慢です。とにかく、速くなりすぎてアラートがブーブー文句を言わないようにするのに必死です。周りと比べると恥ずかしいくらいに遅いペースですが、後半のためのパワーを維持できるか否かは、この区間のガマン具合にかかっています。
結果として、何とか5分51秒のペースを維持し、最初の5kmは29分17秒で通過しました。

<5km〜20km>
次の段階は5kmから20kmまでの3つの区間で、ここを5分35秒〜5分45秒/kmで走ることを目標にしました。
実は、10kmを過ぎて400mくらいのところにあるトイレに寄りました。少し前から行きたかったのですが、新しい5kmに入ってからすぐに立ち寄るようにしようと考えながら走っていました。 理由は、トイレに寄ってロスしたタイムを、残りの距離でリカバーするためで、それにはなるべく距離が残っている方が有利だからです。そこで、並んでいる人の少ないトイレを選んで、飛び込みました。
横浜マラソンはトイレの数が非常に多く、コース上に60カ所もあります。これはスゴいです。国内のレースでも最多の方ではないでしょうか。
ハッスル社員はトイレで2分弱ロスしましたが、ガーミンのアラートに励まされながら、残りの4.6kmで何とか目標の平均ペースまで戻すことができました。スピードを少しずつ上げていったので少し疲れましたが、その後何とか落ち着いてきました。

<20km〜35km>
その次のステップは、20kmから35kmまで。ペース目標は5分20秒〜5分30秒/kmです。
首都高速の斜めに傾いた道路が結構長く続くのには少々まいりました。この斜めコースで脚の疲労が蓄積したのかどうかは分かりませんが、高速を降りてすぐの本牧埠頭を淡々と走って折り返してくるコースは、非常に厳しいものとなりました。 それでも何とか耐えて、かろうじて目標ペース範囲ギリギリの5分30秒/kmをキープすることができました。

<35km〜ゴール>
そして最後は35kmからゴールまで。ここを若干落とした5分30秒〜5分40秒/kmというペースで走り抜けることができれば、サブ4の目標達成が見えてきます。 ペース管理を緻密に行ってきたお陰か、40kmを超えてからは、残りのチカラを振り絞って、可能な限り徐々にペースを上げることができました。 ガーミンが「速すぎるよ!」とアラートを鳴らし始めましたが、もうここまで来たら無視です。
ゴール通過のネットタイムは3時間55分29秒でした。
先ほどのペース目標の表に、実際に走った結果を重ねたのが以下のグラフです。

実走ペース

ガーミンの計測距離は?

FA920XTJが計測した合計距離は42.28kmでした。都市型の大きなマラソン大会にしては、公式距離と100mも違わないという驚きの結果です。 けっこう効率的にコース取りができたと言うことなのでしょうか。正確な理由はいまだ謎です。

横浜マラソン走行軌跡

今回は、42.3kmというかなりギリギリの距離設定でワークアウトを使用しましたが、これがいつも通用すると思わないでください。都市型のマラソンですと、1kmを超えるほどの上乗せ距離を走ることも珍しくありません。
皆さんもワークアウトをレースで使用される際は、走行距離合計の予測を、レースに合わせて緻密に行われることをお勧めいたします。そうしないと、設定ペース通りに走っても目標を達成できなかったということになりかねません。
ちなみにハッスル社員は「東京マラソン」でワークアウトを使用する際には、走行距離は43.4kmで設定することにしています。

ゴール後にいただいた横浜マラソンの完走メダルは、碇をモチーフにしたセンスが光るデザインでした。
さすが港町ヨコハマ!

横浜マラソン完走メダル

最後に、ワークアウト使用上の留意点を2つお伝えします。
ひとつ目は、ワークアウト使用時はリアルペースは見ずに、ラップペースを参照するようにしてください。 リアルペースは、ビルの谷間や様々な障害物に遮られた瞬間、おかしな数字を出すことが頻繁にあります。 なので、それをずっと見ていると混乱の原因になります。参考にするのはラップペースが鉄則です。
ふたつ目は、ワークアウトの表示ペースは、スタート直後および新しいステップに入ってすぐは計測数値が不安定になるということを覚えておいてください。 ステップが切り替わった途端に、実際の感覚とはかけ離れた数字が瞬間的に表示されることがよくあります。 しかし3分も経てば計測数値は落ち着いてきて、ペースをしっかり維持しながらバッチリと走れるようになってきます。

ガーミンのワークアウト機能で、皆さんのランニングライフをより豊かなものにされてみてはいかがでしょうか。 もちろん、レース対策のためのスピード練習など、効率的なトレーニングもサポートしてくれます。 そうした諸々のティップスについても、ハッスルオリジナルの「使いたおし読本」で詳細にご紹介しています。

ガーミン使いたおし読本
青山学院を優勝に導いたトレーニングメソッド

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